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澤井医師の学会放浪記 2011
精度の高い屈折矯正手術の発展を目指して、世界各地で行われている学会に積極的に発表をしています。常に最新の知識・ノウハウを持って診療と治療を心がけています。
ICFLOは、2年に一度開催される眼科+フェムトセカンドレーザーの学会です。
フェムトセカンドレーザー(例えば、イントラレース)による眼科領域への応用はめざましく進歩し、この学会では新技術の基礎研究・臨床結果などの報告が行われました。
参加者は、150名ほどの眼科医と物理学者が中心。開催地もイントラレース社の発祥地である南カリフォルニアでした。会場はとてもきれいなリゾートホテルでしたが、隣接するきれいなゴルフコースに行かず、海もジャクジーにも入らずにカンヅメで勉強していました。

St. Regis Monarch Beachホテル

出てくるマニアックな学会です

学会印象記
前回のICFLO参加から思ったのですが、ドイツやアメリカの研究グループを中心に、大学などの研究機関と企業との産学提携がうまくかみ合い、このフェムトセカンドレーザーの技術の応用が日進月歩になっている印象を受けました。
印象に残った報告をいくつか紹介します。いつもより内容が濃いかもれませんが、、、
1.網膜や前眼部の微細構造を視認する先端技術(例えば、OCT)

眼科の次に、病理学をちょっとかじった身として、このレーザーの能力に驚きました。
いままで生体の組織を知るには、ホルマリンで固定して薄く切片を作って染色して初めて顕微鏡下で観察が可能です。

しかしフェムとセカンドレーザーを用いた生体顕微鏡ですと、生きたままリアルタイムで組織を観察できるつまり三次元の微細手術が可能、、、、です。
レーシックでは角膜のフラップを作るという二次元の手術が中心なのに対して、角膜移植や、水晶体より後方の手術ではこの技術が不可欠です。
2.老眼治療へのフェムトセカンドレーザーの応用

日本を含む先進国の多くが高齢化社会に突入し、眼科的にも「老眼」の治療に対する取り組みが急速に進んでいます。
「老視」は、年齢を重ねるたびに、水晶体が硬くなり弾力が低下するため、近くのものが見え辛くなる症状です。
この硬くなった水晶体に、フェムトセカンドレーザーを照射することで、弾力を取り戻す治療の紹介がありました(写真:水晶体にワッフル状にフェムトセカンドレーザーを照射しています。)まだ臨床治験の途中経過ですが、調節力が平均で1.5D 増加する報告がありました。
特に神戸神奈川アイクリニックで、一旦レーシックで裸眼の快適さや感動を経験されるとできれば一生メガネなしで近くも遠くも見たいという希望を持たれる患者様が多いです。
神戸神奈川アイクリニックは視生活をトータルケアしていくことが理念ですので、患者様の眼のことに関しては、常に最優先な治療を学び、提供できるように努めて参ります。
3.白内障へのフェムトセカンドレーザーの応用

これは昨年のASCRSでも紹介した技術です。
白内障治療では、混濁した水晶体の除去目的で超音波乳化吸引術という既に確立された技術があります。
超音波の完全な代替までは至っていませんが、水晶体の細分化にフェムトセカントレーザーを兼用させた技術の経過報告がありました。
白内障手術で角膜および水晶体をこのレーザーで切開することで患眼への負担が軽減し、より安全で正確な白内障治療が可能になっています。
(上記の老眼治療とは異なり、水晶体の中央部分までフェムトセカンドレーザーが当たっています)
ペリー・バインダー先生と(Perry Binder, MD)

フェムトセカンドレーザーに精通した有名な医師です。
当院でも使用しているイントラレースの初号機から最新機種のiFSまでを知っていらっしゃいます。
この学会でも眼科でどのようにフェムトセカンドレーザーを使用するのか、真髄を教えていただきました。

京都府立医大・眼科の木下茂教授が議長を務めていました。
人類普遍の希望である「元気で長寿を享受すること」の実践を目指し、アンチエイジング医学に関する学術発表が多く行われる学会です。
心臓、脳神経、美容、整形、歯、泌尿器など多分野にわたって、科学的エビデンスに基づいた基礎研究・臨床結果などの報告が行われました
発表演題:老眼に対するCKの効果

患者様から、「レーシック後に老眼が進みますか?」というご質問を良くいただきます。その時は、決して角膜にエキシマレーザーを当てる屈折矯正手術で、眼の老化が進行することはありません、と答えています。
レーシック後は、視力が良い方たちと同じように、年齢を重ねるにつれて、お手元の見え辛さを自覚するようになりますが、一旦レーシックで裸眼の快適さや感動を経験されると、できればメガネなしで近くも見たいというご希望を持たれる患者様が多いです。
学会印象記

名古屋アイクリニックの中村友昭先生
眼内レンズをはじめ手術の達人だけではなく人格者で尊敬している先生です。偶然京都駅から地下鉄の車両が一緒で、気さくに話しながら会場入りしました。
白内障術後の眼内レンズの種類によって睡眠パターンと血圧との関連についての研究を発表されました。(すごい着眼点です)



国際軍人屈折矯正手術シンポジウムInternational Military Refractive Surgery Conferenceは、米国をはじめ、仏、独、日本、シンガポールなど軍隊の屈折矯正手術に関わる専門家たちが最新情報を共有する会合です。
視力に関して、陸、海、空軍および特殊部隊など各任務に就く兵隊が最高の判断能力を求められるため、かなり熱い議論が交わされていました。
5回目となる今年の会議は、NASAや米国軍の屈折矯正プログラムを検証して来られたスティーブ・シャルホーン先生からの紹介で、参加させていただきました。
発表演題:How to handle intraoperative VGB / cold spot with FS laser created flap

今回発表した内容は、アイレーシック®のフラップを作成する際にごく稀にフェムトセカンドレーザーが当たらなかった症例の対処方法について言及しました。
これはすでに神戸神奈川アイクリニック院内で毎月行われているドクターミーティングでも報告しました。国内外を問わず院外でも多くの執刀医たちと議論を交わして最善の治療ができるように取り組んでいます。
写真:イントラレース照射後の映像に不均一さが見られ、角膜の切開面に対するフェムトセカンドレーザーが不十分でした。しかし、正しい状況判断と手技をもってすれば術後の視力に影響を及ぼさず、1.5までの視力回復が証明されました。
学会印象記
今回の弾丸放浪は二日間と短いのですが、正直いってこんな濃いメンツで会議するのは生まれて初めて。
ちなみに100人以上の軍人が参加していました。
小生は小学校より公立あがりで、中学の学ラン以来ずっと私服通学だったためか、、、実は制服フェチです(カミングアウト...笑)。というのは、この学会のルールとして眼科医でもある軍人たち(以下軍医)は陸海空とそれぞれにドレスコードがあります。制服姿の軍医をナマで拝見できました。彼らは建物から外出するとき必ず各軍の帽子をかぶる規制があることも初めて知りました。軍医たちは、みんな紳士的(女性も素敵)で、ランク(袖の本数による)の高い方(大佐とか)ほど知的でリーダーシップで姿勢もよかったです(偏見?)。軍医だから屈折矯正手術はあまり詳しくないのかな~と思ったら、予想と真逆でウルトラエキスパートの集団で議論も核心を突く有意義なものでした。
最も興味深かったのは、私達市民よりも戦場に送り出す兵士たちにレーシックやICL(アイシーエル)を行って安全かどうか、軍人として基本的なスキル(射撃成績や状況判断など)が向上するかどうか、非常にシビアに検討されています。
また、それぞれの任務(ミッション)によってどの術式が最優先に選択されているかも熱く議論されていました。例えば、陸軍では手術の第一選択として数年前まではPRKしか許されていませんでしたが、現在は約半数をレーザーのみで行うレーシック(アイレーシック®)を中枢に治療が行われています。
併せて、ICL(アイシーエル)では、爆破(普段は経験したくないですが)もしくは訓練中に眼球打撲してもICLを挿入した目では、視力やレンズの位置が温存された実例が示されました。戦闘など過酷な環境下でも優れた安全性が確立されている手術と再認識する機会となりました。



- 写真左)トップガンを引退したキャプテン、Steve Schallhorn(スティーブ・シャルホーン)先生とまたもや再会。
SAMURAI(サムライ)が大好きなよう、三人の侍でハイ・ポーズ(小生は空振りみたい) - 写真中)左側から一般人(私)、陸、空軍のエラい人(胸の勲章がキラキラしています)
- 写真右)学会場の屋上ジャグジーにて。2日間で5回もお世話になりました。
学会番外編 アラモ砦 - サンアントニオの歴史

1835年頃、メキシコ領であったテキサスではメキシコ共和国軍とテキサス分離独立派の間で行われた13日間の独立戦闘をアラモの戦いと呼びます。そのときのテキサス側の拠点とされ戦闘の舞台となったアラモ砦は、現在テキサス州サンアントニオ中心街の一角に遺跡があります。
アラスカに次いで州で2番目に面積の大きなテキサスがアメリカ合衆国に組み入れられるか否かの戦い。中に入ると弾丸の跡だらけの壁面やテキサス軍の制服など当時の様子がそのまま残っていました。
一時はスーパーの倉庫にもなっていたようですが、このアラモ砦は大切に保管されアメリカンスピリッツの原点みたいな場所らしいです。興味がある方は、映画「アラモ」を観ると良く分かります。